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<トピックス> 2023.2 公開運動解析ソフト四つの内の二つ【自動車シミュレーション(3自由度,22自由度)】をMATLAB対応にしました.詳細は,左コラム「解析ソフトウエア」に記載しています.
●自動車の旋回時ロール姿勢 [ウィングアームサスペンション]
 自動車がコーナーを曲がる時,車体に遠心力が働き,普通は左側の図のように外側に傾きます.この傾く動きをロール,垂直からの傾角をロール角といいますが,ロールの方向は図のように車体の上が旋回円の外側に傾いていますので外ロールと呼ぶことにします.
 車体のロール角は,主にサスペンションのばね撓みによりますので,図のようにばね上重心よりサスペンションのロールセンタが下にあるときはこのような外ロール姿勢になります.反対に右側の図の旋回姿勢は内ロールです.
 左側図の外ロール旋回姿勢をとるのは,乗り物の中でも 4輪自動車だけです (人や,動物の旋回姿勢も遠心力に抗するため内ロール旋回です). 4輪で踏ん張るから大きな支障が無いためですが,他の乗り物は,ほとんどが旋回時に内ロール姿勢になるように設計されています.たとえば鉄道車両などはレールにカントをつけて旋回時に内側に傾くようにしていますし,さらに振り子機構で内ロールさせるシステムが検討されています.
 従来のロールセンタの高さのままで内ロールさせるために,これまで油空圧でサスペンションンのばねを制御するシステムなどが開発された例がありますが,このホームページで提案するのは,サスペンション機構で決まるロールセンタの高さをばね上(車体)の重心より高くすることによって,内ロールを実現させるシステムです.ウィングアームサスペンションとして,左メニューで紹介します.
 
 ●自動車の運動方程式 [解析力学を使わない]
 運動方程式は物体の動きを微分方程式で表すものですが,自動車については,半世紀も前に立てられた平面運動の「2輪2自由度式」が,今だに一部で使われています.本来平面運動は,X,Y方向変位とZ軸回りの回転の3自由度で表しますが,この2自由度式は定速走行に限定し,車体横方向変位とヨー角度だけの2自由度で表した極端な簡略式です.唯一の外力のタイヤ横力(コーナリングフォース)は,横滑り角とコーナリングパワー係数の積で表して線形としています.このため,典型的な非線形特性を持つタイヤ横力の実態と大きくかけ離れ,さらに,タイヤ横力が接地反力に依存の関係を無視しています.このように2輪2自由度式は,実際の自動車の特性と定性的にも定量的にも大きく乖離していることに注意するべきです.
 このホームページでは,自動車を一つの剛体とし,4輪の各接地点から外力を受けるとした,本来の3自由度の平面運動方程式を一般力学の手順で導きます.平面運動ですが,自動車ばね上の重心高による旋回時のタイヤ接地反力の変化を反映するようにしました.①自動車の3自由度平面運動シミュレーションプログラムとして解析ソフトウエアのページで紹介します.
 さらに,三次元運動方程式による22自由度のフルビークルモデルを紹介します.三次元運動方程式の立式については,多くの書籍(マルチボディダイナミクス..,解析力学..etc)で説明されていますが,難解で具体的手順の説明が不十分のため手に負えない方がほとんどではないでしょうか. これらの本で説明されているラグランジュの運動方程式に依らなくても,いわゆる古典力学のニュートン・オイラーの運動方程式のみで立式できることが確認できたので,④22自由度フルビークルモデルシミュレーションプログラムとして紹介します.このプログラムで,上で説明した
ウィングアームサスペンションの内ロール旋回自動車が成立することを確認できます. 
 

 ●一般の三次元運動方程式 [解析力学を使わない] 
 一般の三次元運動解析に関しては,マルチボディダイナミクスと称して複数の剛体を連結した多剛体運動解析の本が数多く出ていますが,書かれている手法は「ラグランジェの未定乗数法」を使う方法の一辺倒です.この方法は,理論的に難解の上に,運動方程式の作成手順が複雑なため,実務で応用できている方は少ないと思います.私も挫折者ですが,自動車の運動モデル作成経験から,このような解析力学の手法を使わずに,一般力学のニュートン・オイラーの運動方程式のみででマルチボディダイナミクスを解けることを確認しました.簡単な説明ですが,解析力学で無限大剛性を想定している各剛体の連結あるいは接触のジョイント部に,硬い弾性があると仮定すると,ジョイント部の相対変位から反力が求まり,ニュートン・オイラーの運動方程式で解くことが出来ます.この原理は,絶対的に正しい筈ですが,ジョイントを無限大剛性と一律にしたほうが簡便なことと,計算時間が数十倍になることからこれまでは取り上げられてきていません.しかし,ここ4半世紀で1千倍以上になった現在の計算環境では,十分に通用します.この硬弾性ジョイントの考えを,二重剛体振り子解析に適用して,2018年9月の機械学会年次大会で発表しました(左コラム「プロフィール:論文13」).このページの右上隅のアニメーションは,それを五重振り子に拡充して運動方程式を解いた例です.このプログラムはScilab5.5.2で動きますが,解析ソフトウェアのページ(左コラム)で紹介しています.ソースコードをダウンロードして確認していただけます(②五重振り子の運動シミュレーションプログラム).
  さらに,右にあるような③高速回転体付き振り子の運動シミュレーションプログラムも紹介しています,ジャイロ効果による振り子の歳差運動を簡単にアニメーションで確認できます.
 このように,運動方程式さえ出来れば,連立常微分方程式として,パソコンフリーソフトのScilabなどで解く事ができます. 連立常微分方程式を解く関数(ode()等)を使えれば,MATLAB, Python, C++などのその他のプログラミング環境でも可能です.

●お願い
 このホームページは私一個人が独断専行で作成しています.誤った記述が無いように注意していますが,完璧ではないと思いますので,運用は自己責任でお願いします.特に,現在刊行されている力学,自動車工学の書籍と異なる見解があることにご留意ください. 記事内容の引用転載等は,出典を明記していただければ,断りなく自由にしてください.公開している自作ソフトウエアの運用も同様です. このページへのリンクも歓迎します. (更新:2023/2/16)
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